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辺境発のオピニオン


by karatsuzine

続く民主の審議拒否

 郵政民営化法案が審議入りした。今国会中の成立を巡って世論の間でも是非の分かれるこの法案は、民業圧迫となるのではないか、効率化が徹底されるのか、肥大化を助長するのではないか、等の批判があり、今国会中の成立にこだわらずもっと議論を尽くすべきだという意見が世論調査を含め大勢を占めている。
 特定郵便局を支持基盤とする自民党反対派の圧力に押されて、法案成立のため妥協を繰り返す事が行われれば、官の無駄を省き資金の流れを適正化するという民営化本来の目的からは、どんどん遠ざかる事となる。

 この法案について「欠陥法案」と批判を強める民主党であるが、自民党の非協力的な態度を不服として、審議初日から社民党と連動して審議拒否を行っており、5月30日現在まだ議場には姿を見せていない。

 そもそも民主党は郵政民営化に対してどのような姿勢でいるかについては、民主党のウェブページに載っている文書(民主党の「郵政改革についての考え方」について)から読み取れるように、「官」と「民」の中間である公社という現状を維持しつつ効率化を進め、その中で将来郵政事業がどうあるべきかを議論していくというものである。
 この文書に限って言えば、民営化は郵政改革の選択肢の一つであり民営化自体には反対ではないが、現在のような議論を尽くさないままの民営化には反対だという論調が目立つ。よって民営化する場合の具体的なビジョンについては、ここではほとんど触れられていないし、独自の民営化論についてもまだまだ意見がまとまっていないという印象が拭えない。

 話を民主党の審議拒否に戻すと、政党にとって持論を披露する場というものは、あくまで国会である。街頭やウェブページはあくまでもそれを補完するものであり、与党の政策を追求する場合は国会でそれを行うというのが原則であり、国会議員としての義務である。与党の非協力的な態度が不満であれば、それも国会で追及するべきである。このような状況では、国会で与党を追及するだけの意見がまとまっていないのでは、という印象を持たれてもおかしくない。

 もちろん年金改革法案の時見られたような、審議をあまり行わず強引に法案を通そうとする手法は好ましいものではない。最終的には数がものをいうというのが政党政治ではあるが、だからといって議論を飛ばしても構わないという考え方(そう受け取られてもおかしくない姿勢)は、優れた法案を送り出すという観点からは遠く離れており、危険なものだ。
 しかしだからといって与党の改革案が欠陥だから、審議に対する態度が非協力的だからと言う理由で、審議も行われていない段階から審議をボイコットをするというやり方は、どう考えても理屈が通らない。

 自民党は民主党に対し、「かつての社会党と同じ」「何でも反対」といったネガティブキャンペーンを行っている。そう言わせる論拠を自ら提供し、その枠にはまった行動を行うと言う事は、政権獲得を目指す党のやることではない。現実味を帯びてきた二大政党制の一翼を担う党として、一刻も早い審議復帰を望みたい。
by karatsuzine | 2005-05-31 00:10 | 政治